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曇り空と昔の日記

  • uminogohan
  • 2016年5月2日
  • 読了時間: 4分

今日は雨 どんたく 大変だろうな

趣味人倶楽部にて8年間 日記を書き続けてます

たまに 昔の日記をたどると 当時のことが鮮明に蘇ります

書き続けること。。。それは 自分の歴史

ただ 流されてゆくのとは違う気がする

小さな雨が落ちている 曇り空を見てたら飛行機が

デジャ・ブ?

捜してみたら 昔の日記にありました

長いけどロマンスを感じるので掲載します

「雨の空に君が飛び立つ」  2015年10月01日

昨晩の天気予報どおり  朝起きると雨風が強い荒れた天気だった 窓ガラスの向こうに 灰色の重たい街並みがモヤに霞んでいる 雨に濡れたベランダを見て  今日はなんて気が滅入る日なんだと 心の中まで曇ってしまいそうな気分に襲われた 僕のマンションは空港のそばにあり  午前7時からジェット機が飛び立つ音が辺り中に響く 雨粒を抱えた雲に隠れて見えないが  離陸で空に駆け上がる飛行機の咆哮音がしっかり聞こえた 仕事の時間にはまだ今日は 充分 時間がある コーヒーを沸かし 今日のスケジュール手帳を開く ボールペンで殴り書きのようにメモした文字が  今日のスケジュールに書き込まれているのが目に止まった ”国際線9:30出発” えっ なんだっけ? 自分が書いた文字なのに とっさに記憶が浮かばない 思いを巡らすが これは僕のスケジュールじゃない あっ そうだ彼女だ・・・ 1ヶ月前 バーで知り合い それから ちょくちょく出くわす度に仲良くなり 彼女が海外出張の出発日を教えてくれたのだ 今日だったのか・・ ここ1週間 会っていなかったので このメモの記憶は忘れていた 午前9時半出発・・・ 僕は時計を見た午前7時だ ここから空港まで20分 いや雨でこんな通勤の時間帯なら倍はかかる きっと1時間前には 彼女はチェックインするだろうから 空港には8時位到着してるかもしれないな・・・ そんなことを考えたら 急に会いたくなった 間に合うかな? 間に合えばいいな  僕は彼女が素敵だと言った ブルーのシャツをはおり すぐ家を飛び出した 空港線の道路は予想通り混んでいた 雨でラッシュタイム ノロノロ進む車に焦りを感じ 時計を何回も見る・・・ 馬鹿だなぁ~ 勝手に押しかけて 自分だけがそわそわしてる そんな自分に笑いが出て 音楽を聞くことにした 軽いアメリカンロック カリフォルニアサウンドだ これくらいが今日の気分にはちょうどいい フロントガラスには雨だけど  彼女に会えるかもしれないという期待は青空だ 焦ってもしょうがない 渋滞ついでに道路脇のコンビニでコーヒーを二つ買った 僕の分と彼女の分だ 空港の駐車場についたのは ちょうど8時半だった 後1時間で出発か・・ いるかな? 3階の出発カウンターは空いていた 彼女が行く航空会社は知っている 並んではないようだ もう行ったのかな? 国際線空港バスが3階の到着ゾーンに滑りこんできた 僕は降りてくる乗客の中に彼女を見つけた カートを押してくる彼女の前に飛び出し 僕は 「おはよう!」と言った 全然 予想もしてなかった彼女は驚き そしてすぐ笑顔になった 「どしたのよ こんなとこで」 「君を見送ってあげようとやって来た」 「えぇ~・・・・」 「こんな雨の日の出発は気も重たいだろ 応援に駆けつけた」 「・・・やさしいのね」 それから僕は彼女のカートを持ち チェックインまで並んだ 「コーヒー 君のために買っておいた」 「ありがと 丁度飲みたかったとこなの」 バーで出会った時のように彼女は素敵なままでいた チェックインはスムーズに終わり  無事 搭乗券まで貰うことが出来た 後は手荷物検査のゲートを通り出国検査だ 「わざわざ ありがとね」 「いや 実は僕もこの飛行機に乗って君と行くんだ」 「えっ 嘘っ!」 「嘘だよ」 その言葉に彼女は笑った 「でも あなただったら しかねないわね」 僕もその彼女の言葉に笑った 雨の朝の慣れない海外出張 いくらか彼女の緊張が解きほぐれてくれたら 僕はそれでいい これ持って入れないからと彼女は先程のコーヒーを僕に手渡した 触れる手に僕はドキリとした 僕は彼女を好きなんだろう・・・ 空いていた出国検査のゲートを潜る時 彼女は振り返り 「なんだか そんな見送られ方したら今生の別れみたいね」 「そうかもしれないから しっかり見ておくよ」 「帰ってくるから 心配しないで」 「いつ帰ってくるんだい?」 「1週間後 帰ってきたら飲みに行きましょう」 「ああ」 「連絡するわ」 「ああ」 そして彼女は手荷物検査を通り 奥の出国検査へと歩いて行った 僕は残されたコーヒーカップに 彼女の赤い唇がついてるのに気がついた まだ半分以上 残っている 僕はコーヒーカップの彼女とキスをした 空港から帰る渋滞の車の中で 僕はフロントガラスの空を見た 相変わらず雨だ 一機の飛行機が雨の雲の中にフェードアウトしていくのを見送り  彼女のことを思った そして 僕はまた音楽のスイッチに静かに手をかけた。。。

(完)


 
 
 

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